一昨年前に公開された男はつらいよお帰り寅さんは、50周年目の50作でありました。初恋の人ゴクミとキスシーンがあり相当なドラマチックな展開をみせた作品です。主役の渥美清さんが亡くなって22年が経過して作成された作品で50作目というのは、日本の映画史にもこのような作品はないです。笑いの中に隠れているロマンチックな恋愛について触れてみます。お帰り寅さんに限らず第15作の男はつらいよ相合い傘で船越英二演じる兵頭が初恋の女性に会いに行きます。舞台は、北海道小樽です。初恋の女性は、今は単身で喫茶店を営業してます。が珈琲を飲んで何も話さずに店を出ます。女性は、店を出る男性を見送りに出てきます。店に入ってきてすぐにわかったと言ってます。初恋の女性は、信子で岩崎加根子さんが演じてます。信子は、兵頭に店に入ってきてすぐに分かったと言いました。兵頭も挨拶くらいで踏み込んだお話は、一切しておりません。一流会社の課長ですが家出して出会った寅さんと旅をしている設定です。この場面に、寅さんのシャイな部分が大きく重なります。要は、兵頭は家族がおりますし信子が訳ありであってもなにもしてあげることができないのです。この回は、浅岡ルリ子さん演じるマドンナリリーが2回目の出演でした。寅さんという愉快で嫌なことを忘れさせてくれるキャラクターです。私は、黒澤明監督の生きるに出てこられる小田切みきさん演じる小田切とよに男はつらいよの寅さんがだぶるのです。生きるは、男はつらいよにも出演した志村喬さんが主役です。志村さん演じる渡辺は、地方公務員で真面目な方です。胃癌を宣言されました。そのような中で部下の自由奔放な女性小田切に惹かれます。恋愛感情ではありません。その女性といると辛い現実から逃避できます。志村喬さんは、男はつらいよの中で寅さんの義弟前田吟さん演じる博の父親役です。堅物の元大学教授です。寅さんと博の父親の場面は、そこに生きるの映画があります。次元的に、盗作とかそのような低俗的な意味ではなく、山田洋次監督の黒澤朗監督への尊敬を感じます。それと同様に、午前様で登場しております笠智衆さんの存在です。それだけで、小津安二郎監督の東京物語などの作品が生きているのです。男はつらいよを観ることは、ある時、生きるの渡辺の心境の時もあるかもしれません。しかし、本音は自分の人生を構築しなさいということであり、本質であると考えております。そのようなことは、例えば第22作噂の寅次郎で失恋して泣いている泉ピン子演じる女性に、きっと良いことがあるよと声をかける場面があります。きっと良いことがあるよというのは、目前のことにベストを尽くしなさい。ということです。